旧ブログより(2011年07月12日記入)
大阪の定席『天満天神繁盛亭』を復活させた桂三枝さんが、
上方落語の大名跡、桂文枝を襲名することになったそうだ。
小生の印象では文枝と云うと五代目の桂文枝さんになる。
狸みたいなおじさんだが、女方が本当に上手い。
目を閉じて聞いていると、情景が浮かぶ。
『たちきれ線香』など聞いていると、
眼の前に置屋の女将がいるかのようだ。
もちろん桂三枝さんも、映画化された『ゴルフ夜明け前』をはじめ、
『恐怖の怪談社』『ワニ』など数多くの新作落語を生んだ戦後落語の旗手である。
よそで波紋になった若手を一時的に引き取り、ほとぼりが冷めるまで、
活躍の場を提供されるなど懐の深いところもあられると聞く。
とはいえ、今回の襲名は異論もあるようで、
古典落語の名人だった文枝のあとを、弟子とはいえ、
古典をほとんどやらない三枝が継いでいいのかということである。
本当に難しい問いかけだが、小生個人としてはいいんじゃないの、と思う。
名前を襲名したといっても同じような芸風の人が続くわけはないし、
文枝だからといって古典落語ばかりやれというのも、変な話だ。
ただ願わくば、六代目・桂文枝には、
古典落語も上手な玄人好みの実力派をお育ていただきたいものである。