パリ・オリンピックの新競技『ブレイキン』が話題になったが、日本独自のダンス『日本舞踊』は近頃、影が薄い。
日本舞踊の特異性は、その振付に3つの要素が含まれていることにある。
舞、踊り、ふり、である。
舞というのは能楽に見られる前後左右の動き。
信長の「人間五十年 下天のうちを比ぶれば・・・♪」の幸若舞や、歌舞伎の片岡愛之助さんが家元を勤める上方舞(楳茂都流)などがよく知られる。
さらに踊り。これは庶民の民謡などの踊りがわかりやすい。跳んだり、はねたり、上下運動が豊かで感情表現に富む。
最後の『ふり』。これがポイントだ。
日本舞踊や歌舞伎の所作事でよく用いられる清元や常磐津、文楽=人形浄瑠璃で用いられる義太夫は、実は歌ではない。語りものとよばれ、三味線に合わせ、物語を語っている。
たとえば歌舞伎の所作事を、「踊りのシーン」と表現する方がいるが、実はあのシーンは舞踊劇で、いわばミュージカルに近いシーンなのだ。
日本舞踊の振付は、舟を漕いだり、蝶々を追っかけたり、梅の木の向こうの月を眺めたり、それをダンス化しているわけだ。
だからお師さんは、身体を動かす前にまず曲の謂れを語ってくれる。
「この踊りはこういうシーンなんだよ。あなたは船頭さんだよ、村娘だよ、大店の鯉さんだよ・・・」
てな感じだ。
ところが!
踊りはうまくて、知識が豊富だって、話が下手な人もいる。そのうえ日本舞踊の指導者には高齢者が多い。
人によっては…
話が長い!
くどい!
言葉の意味がわからない!
こうなると踊ってみようという気が萎えてしまう・・・
ブレイキンもたぶんそうだろうが、
やはり、いい指導者、自分に合った先生と出会えることが継続と上達のカギになるのかもしれない。
踊りがうまくて、話が聞き飽きなくて、踊りの背景や失敗談も語ってくれる。
こんなお師さんに出会えると、踊るのも、見るのも楽しくなってくる。
日本舞踊には世界中の他のダンスにはない魅力があります。
弊店でも踊りの振付DVD、いくつか扱っています。
もしなんかの弾みでもいいから興味が湧いてきたら、一度、手に取ってみてくださいね。
<参考>
▷ 日本舞踊/新舞踊の振付・踊り方A
▷ 立花志津彦先生の日本舞踊振付講座