市川雷蔵の『若親分シリーズ』は、任侠映画大ブームの中、制作されました。
市川雷蔵と勝新太郎がWエースだったこともあり、雷蔵の『若親分』、勝新の『兵隊やくざ』が誕生したようです。
ただ市川雷蔵の魅力は端正で折り目正しい品のよい佇まいや、殺陣の美しさにあり、当時のヤクザ映画のイメージとは少しかけ離れておりました。
そこで、元海軍少尉が父の不慮の死により致し方なく跡目を継ぐ。
そこでヤクザを利用して私腹を肥やす腐敗した官憲や政治家、軍隊などの存在を実感し、正義を貫くため海軍仕込みの抜刀術で立ち回る、という独特のストーリーが生まれたと云います。
実際、『若親分』こと南条武は、眠狂四郎や忍びのものとならぶ市川雷蔵のあたり役となりました。
もう一点、このシリーズの魅力として、美しくて懐かしい映像が挙げられます。
超一流のスタッフが撮影したフィルムは、機材の品質の差を補って余りある美しさがあります。
特に一瞬一瞬の構図のバランスのよさはまるで1枚の絵を見ているようです。
また当時の京都や大阪の風景もフィルムに収められており、ご年配の方には懐かしさを感じられることでしょう。
お客さまに「オススメの巻はどれですか?」とよく尋ねられます。
『若親分喧嘩状』や『若親分千両肌』もよく買って戴きますが、いちおう第一作の『若親分』とその続編『若親分出獄』を基本、オススメしています。
物語の入り口なので、若親分がやくざになった背景やその人柄が丁寧に描かれています。
加えて、なにより朝丘雪路演じる「お京」が魅力的な女性だからです。
お京は武の幼馴染で、彼がどれだけヤクザになりたくなかったか、それでも一家の人達を大切に思っていたかを知っています。
強い意志を持ちつつも、優しさや温かさをもつお京は、まさに『ふるきよき日本の女』です。
昔の映画はあらすじを語ると野暮だと思っています。
興味のある方は是非1本ご覧になってみてください。
(閉店でご購入賜れば、感涙の限りです♪)