広末涼子出演『鉄道員 -ぽっぽや-』をまた見たい!

てんちょ-の時事放談 ドラマ/映画を語ってみた。
てんちょ-時事放談

広末涼子さんが逮捕されたらしい。
傷害罪。
4/14 18:00現在で不正薬物の使用は確認されていない。
正直いって、ホッとしている。
広末涼子さんは好きな女優さんの一人だからだ。

広末さんの代表作と云うと、テレビドラマなら『ビーチボーイズ』『SUMMER SNOW』
映画なら『おくりびと』『鍵泥棒のメソッド』が有名だが、やはりこの作品は忘れられない!

『鉄道員 -ぽっぽや-』

浅田次郎の人気短編小説を映画化した作品。
当初、短編小説の為、長さが問題になったが、日本戦後史の炭鉱の盛衰を、本編とリンクして描くことで物語の厚みを増した。

映画・鉄道員 -ぽっぽや-(DVD/Blu-ray)

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 廃線近づくローカル線の終着駅の駅長・佐藤乙松(高倉健)。
彼は鉄道員(ぽっぽや)一筋に生きてきた。
生まれたばかりの娘・雪子が生後2か月で病死したときも、その2年後、妻(大竹しのぶ)が亡くなったときも、人手不足の田舎の駅では代わりの人を頼むこともできず、乙松は気丈に駅に立ち続けていた。
札幌本社から遂に廃線が決まったとの連絡が入った後も、彼は残り少ない鉄道員生活を最後まで真っ当しようと何一つ変わらず淡々と仕事を続けている。

 そんな或る日、一人の少女が大きな人形を抱えて駅にやってきた。
その夜、その子の姉だと名乗る小学校高学年の女の子が人形を受け取りにやってきて、また来ると云って帰っていった。

朗読CD/浅田次郎/鉄道員 ぽっぽや

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 翌日、激しい吹雪の夕刻。二人の姉だという娘(広末涼子)が駅舎で待っていた。
娘はなぜか、近所の高校の昔の制服を着ていた。『正月休みで遊びに来た』という娘と、乙松は楽しいひとときを過ごした。
たぶん三人の姉妹は近所のお寺の住職の孫だろう、と乙松は思い込んでいた。
ところが住職から電話があり、乙松が「すっかり引き留めてちまって」と詫びると、住職は「娘も孫も帰ってきていない」と告げるのだ・・・

このときの広末涼子の愛らしさ、純粋さ、透明感・・・
それが台詞が少なく、感情表現を抑えた高倉健の演技をより際立たせるのだ。

彼は確かに家族を愛していた。
不器用だけど、言葉には出さなかったけど、死に目には会えなかったけれど・・・ぽっぽやだから・・・雪の中を走る鉄道と駅の安全を守るのは彼の役目だから、彼は涙を見せず、駅に立っていた。
けれど彼は泣いていた。
娘と、妻と、一緒に年をとっていきたかった。

それがこの短い駅舎での楽しいひとときに、ちゃんと描かれ、感じられるのだ。
あまりにも短い、でも素敵な神さまのプレゼント。
この映画の『鉄道員 -ぽっぽや-』のすばらしさはこの広末涼子と高倉健の大切な1シーンにすべて込められている。

広末涼子さんは、このシーンを撮る前に、出番のない北海道のロケ地に見学に行かれたという。
自分が演じる雪子のあかちゃん時代を見ておきたかったからだそうだ。
彼女はそういう役づくりができる女優さんなのだ。

近年、薬物利用や交通事故、恋愛のもつれ、酒の席の失敗などで、仕事が激減する女優さんや俳優さんが多い。
もちろん彼らの間違いは間違いなので、謝罪や保証をするのは当然である。
でも考えてみれば、彼らの多くは殺人や強盗や恐喝、レイプなどで他人の人生を台無しにしたわけではない。
交通事故や酒の席のミス、恋愛のもつれ等は、正直、私たちだっていつ遭遇するかわからない。

薬物利用は問題だが、芸術分野の人がストレスを抱え、感受性が鋭いが故に薬物中毒になるのは今に始まったことじゃない。
バド・パウエル、ビリー・ジョエル、槇原敬之、ASKA、ジミヘン・・・。
俳優・女優だって伊勢谷友介、ピエール瀧、酒井法子、永山絢斗・・・枚挙に暇がない。

視聴率目的のワイドショーの過剰演出にノセられ、価値ある才能を潰す・・・私はあまりにもったいないと思う。
もちろん人それぞれに許せる範囲は違うと思う。
悪いことは悪いのも事実だ。
でも彼らは音楽や演技で我々を楽しませてくれる存在であり、人柄や生き様で我々に範を示す存在ではない。個人的思いではありますが、テレビに踊らされ、才能を潰す片棒だけは持ちたくない。事故に巻き込まれた方や被害にあわれた看護婦さんにはきちんと対応されることだと思う。
広末さんの映画やドラマ、出荷停止や放送禁止にならないでほしい、と心から願っている。

浅田次郎小説/朗読CD

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