筒井康隆 朗読CD〜小説・エッセイの朗読

　戦後の昭和を代表する作家 筒井康隆氏。
俳優志望で小劇場など演劇畑出身の筒井康隆氏の作品は、元来、社会風刺に富み、見せかけの知性、品性、小賢しい近代文明への批判性に富んでいた。デビュー初期、パロディやスラップスティックな笑いを交えたナンセンスなSF小説で人気小説家となった筒井康隆氏だが、SF御三家と並び称せられた小松左京や星新一に比べても、より一層舌鋒鋭く、容赦がない作品が多かった。
　特に1970年代に入ると、それまでのブラックユーモア、ナンセンスな作風に実験的な著述技法をくわえた実験的小説を多数発表し始める。、PTAを批判した『くたばれPTA』や、痴漢冤罪の恐怖を描いた『懲戒の部屋』、ウーマンリブ運動やフェミニズム文化を揶揄した『女権国家の繁栄と崩壊』など、マスコミ主導で極端に振り回される人間社会を斜めに見た筒井文学には、他の小説家にはない圧倒的な魅力があった。同時に筒井康隆の文学はその訴求力と、ブラックユーモアのキレゆえに、たびたび批判の標的にされ、のちに筒井康隆自らの断筆宣言へとつながっていく。筒井康隆氏の文明批判がたっぷり詰まった名作を朗読ＣＤでお楽しみください。