旧ブログより(2012年02月09日記入)
昨日、文芸春秋の木俣正剛氏の講演会に寄せていただきました。
松本清張さんとの思い出話など、編集者さんならではの裏話が聞けて
面白かったのですが、最後に、文芸春秋の記事をいくつか紹介してくださいました。
その中で「これがあなたの望んだ日本ですか?」
という質問に、フランス文学者の鹿島茂氏が寄せられた文章がありました。
鹿島茂氏は「そうだ」と書かれていたそうです。
戦後の日本は、”無駄”ということを嫌い、さまざまな無駄を排除して、
国を発展させてきた。
例えば、洗濯機や電子レンジができたことで洗濯や調理など
家事の”無駄”は大幅に削減された。
ワープロの発達は、原稿用紙にいちいち書き込む無駄をなくした。
携帯電話の発達は、親への挨拶や電話を取り次いでもらう手間をなくした。
無駄と思えるものを見つけ出しては、それを排除する方策を真剣に取り組み、
機械や社会の仕組みを変えてきた。
その結果が今の日本だと氏は書かれていたそうです。
(随分、端折ってますので、詳しくは文芸春秋を読んでください)
その話を聞いて、ふと自分と音楽の出会いを振り返りました。
正直言うと私は、音楽というものにあまり興味を持っていませんでした。
レコード(当時はCDじゃなかった)を聴いている時間があれば、
絵や映画を見たり、本を読んだり、自転車でブラブラ町をふらついているほうが好きでした。
中学3年ぐらいから、深夜のMUSIC TOMATOやMTVにはまったのですが、
それもよくよく思い出せば、家がレコード屋なんでまったくわからんのはまずいということと、
興味のあった女性がデュランデュランのファンで、話をあわせたい一心だったのかもしれません。
しかし、そんな私でしたがレコードをゆっくり聴くという時間がありました。
家に帰り、腹が立つことがあると、コーヒーを入れて、
お金に余裕があれば近所のタカラブネというケーキ屋で
140円のショートケーキを買ってきて、
おもむろにお気に入りや元気の出る曲を選んで、針を落としました。
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けっこう、元気になりました。
無駄な時間かもしれませんが、愛しい時間だったように思います。
現代の私たちの生活はけっこうせわしないです。
会議が終わると、携帯電話とメールを確認し、必要に応じて連絡を取ります。
必要なデータはメールですぐに送られてきますので、
仕事には次々と取り掛かることができます。
1日があっという間に過ぎ去り、気がつけば夜中ということもあります。
昨日、上記の鹿島茂氏の文をお聞きして、
無駄って無駄だったのかなと思いました。
今、音楽はBACK GROUND MUSIC(BGM)となり、聴き方にあわせ、
曲自身もあっさりと、気持ちよく聴ける曲が多くなっている気がします。
それが悪いという気は毛頭ないし、そういう曲でも素敵な曲はたくさんあります。
でも、やっぱりめんどくさい曲が恋しいときがあります。
めんどくさいぐらい気合を入れて聴いた音楽、
それって、今でも好きな音楽なんですよね。
無駄って、めんくさいことって、けっこう大事だなと思う昨日の講演でした。