第1番のお奨めは! キスカ!!

ドラマ/映画を語ってみた。

旧ブログより(2005年08月12日記入)

『キスカ』
この島の名を知っている人は、若い人にはほぼいないのではないだろうか。
北方領土の更に向こう、アリューシャンに連なる北の島である。
太平洋戦争末期、アメリカの大攻勢の前に、日本守備隊は各地で玉砕していた。
南方ばかりではない。
北の海でも有名なアッツ島玉砕があり、キスカ島守備隊の命も風前の灯だった。

そんな中、山村聡演じる川村中将は決然と言う
「彼らを救出する!」

川村中将は、親友で水雷戦隊の指揮に定評がある大村少将(三船敏郎)を呼び寄せる。
「大村、頼む」

しかし状況は最悪だ。
制海、制空は完全に敵方に掌握され、相手方には高性能のレーダーがある。
どうしろというのか!!

しかし大村は、艦隊の指揮官たちはあきらめない。
そして、川村中将も旗艦を南方軍に受け渡してまで、必要な駆逐艦を確保し、彼らを支える。

頼りになるのは、「霧」だ。
霧に隠れ、すばやく島に駆け寄り、守備隊を撤収させる……
天気予報士をつとめる若い士官はその責任に苦しむ。
なかなか出撃命令が出ないことに業を煮やした各艦の艦長たちは、守備隊を心配するあまり、天気予報士官を突き上げる。
思わず、嘘の報告をしようとする士官。
それを、大村は制す。
「お前の報告は間違いないな。なければ俺たちは出撃する。
 俺たちの仕事は出撃し、仲間を救うことだ。
 お前はお前の仕事に全力を尽くせ」

若い士官は踏ん張った。艦長たちも耐えた。
そして、大村と川村は部下を信じて、待つ。

出撃の指令が出る。
しかし、これは始まりに過ぎない。
スピードが命だ。ここからは大村や艦長たちの仕事だ。

一方、守備隊でも無線による暗号を解読し、撤退準備を急ぐ。
「誰一人、残すな。一緒に日本に帰るんだ」

円谷監督がその実力を遺憾なく、発揮した
霧の中の艦隊運動。モノクロの画面に異常ともいえる緊張感が漂う……

とにかく、迫力ある特撮と見せ場の多い脚本、
見せる演技のある俳優たち。
すべてがそろう名画だ。
そして、なによりの魅力は最後の爽快感!

キスカ・マーチを背景に、友を助け、堂々と
岐路に向かう大村艦隊の颯爽とした姿はなんともいい。