時代劇をつまらなくしたものは?

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誤解を少し怖れつつ云うが、時代劇をつまらなくした『水戸黄門』だと思っている。
正確にいうならば『水戸黄門』のような毎回同じあらすじの量産型テレビ時代劇。

 当時、時代劇の放映時間は20時~と21時~。この時間帯、まだ外で働く若夫婦は会社から帰っていない。
子供は部活から帰り勉強しているか、熟に行っているか、そんなところだ。結果、メインの視聴者は高齢者になる。

 いいか、悪いかではなく、高齢の方は刺激より安定を求める傾向が強い。ハラハラドキドキより、安心してみられる作品を好む傾向がある。
制作側にしても、同じストーリーで設定だけ変えれば、安上がりで済む。それで視聴率が稼げるなら万々歳だ。
役者だって、若干ニュアンスを変えた同じような演技で、制作が納得するなら敢えて異議申し立てはしないだろう。自分の個性や可能性は別のドラマで発揮すればいい。
言っちゃ悪いが佐野浅夫、里見浩太朗時代の『水戸黄門』や、『必殺仕事人』の後半以降の必殺シリーズなんて量産型時代劇の最たる例だ。

視聴率が稼げていたならOKと考える人もいるだろう。
ただこれが大きな落とし穴だった。
刺激を求める中年~若年層は、時代劇はいつも一緒のあらすじでつまらないものと決めつけるようになった。
時代劇を、見るに値しないコンテンツとして避けるようになったのだ。

この逆がアニメである。
もともと子供向番組だったテレビアニメだが、この流れを変えたのが『宇宙戦艦ヤマト』『機動戦士ガンダム』『新世紀エヴァンゲリオン』の3作品だ。
この3作の存在がアニメを大人も楽しめるコンテンツに発展させた。



しかしよくよく思い出して戴きたい。
『ヤマト』と『ガンダム』は視聴率に恵まれず、放送期間短縮に追い込まれた。
『エヴァ』は大ヒットしたものの制作が間に合わず、現在でもその結末が試行錯誤されている。
当時の視聴率測定では、年齢層や興奮度までは測れない。
ただテレビの電源を入れている人も、食い入るように見ている人も同じ1票である。
もう1回見たい、人にも見せたい、なにより制作側が見てほしい、と熱望するような作品を作り続けないと、どんなコンテンツも徐々に衰退していくだろう。

スポンサーが資金を出し、番組を作り、その番組と共に広告を流し、視聴者にはスポンサーの商品を買っていただく。これはラジオ時代から続くマスコミのビジネスモデルだ。
ただビジネスモデルに即した作品が必ずしも優れたコンテンツにはならない。

 私は、里見浩太朗さんが若いときに演じられた増川仙衛門(次郎長の子分)や、『炎立つ』のアテルイこと安倍頼時やリーガルハイの執事?、『共演NG』の老俳優役が結構好きだ。
里見さんが本来の時代劇のつくり方で『水戸黄門』役をやられていたら、今の若い人にも受け入れられる『水戸黄門』ができていたかもしれない、と残念には思っている。

三池崇監督は2010年『十三人の刺客』リメイク版にて、量産型時代劇を大きく否定したような作品を発表されている。
原作となる1963年の映画(脚本は池上金男/のちの池宮彰一郎)が本来すばらしいのだが、リメイクでも前作に勝るとも劣らぬものを作られた
・・・が最後にそれをすべてあざ笑うような1シーンを入れられている。
この件を書くとまだまだ続きそうなので、続きは次回の講釈にて。