輸入盤と日本メーカーのレコードがほぼ同時に入荷。
さっそくホームページに追加した。
まずは フランク・シナトラのレコード
『Come Dance with Me!』を紹介したい。
1958年発表のアルバムで、今回は180g重量盤で4曲プラス盤での販売になる。
近年の音楽ファンには、フランク・シナトラを知らない人もおられるかもしれない。もし、そうであれば一度聴いてみてもらいたい。
異名は『ザ・ヴォイス』。
ジャズとポップス、両方を歌いこなす。『マイ・ウェイ』や『ニューヨーク・ニューヨーク』は複数の歌手が歌ったが、彼のバージョンが一番イメージが強い気がする。
もう一つ彼が音楽業界を、レコード文化を変えたと云えることがある。
この『Come Dance with Me!』がそうであるようにコンセプト・アルバムというものを世に問うたことだ。
それまで単体の歌の寄せ集めだったレコードを、アルバム全体を貫く特定のテーマや感情を伝える、ストーリー性や感情の流れを感じさせる作品へと昇華した。

昔、スピッツがメーカーの要請で不本意ながら初のベストを出したことあった。タイトルを『Recycle -リサイクル-』と名づけ、草野マサムネはラジオで否定的なコメントを流した。売れたシングル曲だけを並べ、新曲がないアルバムを当時の彼らは受け入れられなかったのかもしれない。スピッツが大好きなお客さんからの電話を覚えている。
「スピッツのベスト、予約したいんですけど予約してもいいですか?」
泣き入りそうな声で電話の向こうで彼女は言った。正直、スピッツのベストならだいぶ売れるぞ!と期待していた私はその言葉の意味と悩みの正体がわからなかった。ただ、なんでこんな悲しそうにベストを予約するんだと思い、話を聞いているうちに『Recycle』というタイトルの意味が理解できた。
閑話休題。
少し前にボブ・ディランがノーベル文学賞を受賞し話題になったが、音楽で気持ちを伝える、それが1枚のアルバムで気持ちや感情を伝える・・・そのはじめの一歩を作ったアーティストの一人がフランク・シナトラだった。
この『Come Dance with Me!』はその名のとおりのテーマだ。
楽しい時間を「きみ」と持ちたい。
そんな気持ちが詰まった1枚のレコードは発表から70年たち、シナトラがなくなった今も、ぼくらの心をノックし続けている。