音楽ビジネス・モデルチェンジ!

母が「近頃、テレビは懐かしい音楽ばかり流さはる」とぼやいていた。
確かにモノマネ番組でも20年以上前のヒット曲が多い気がする。
店頭で売れるのも少し前の音楽ばかりだ。
10代の方はCDデッキも知らないし、サブスク全盛の世の中だと理解はしている。
ただ何処かで私自身、今の音楽は昔の歌より歌詞が魅力的でなかったり、曲が単調なのだろうと思い込んでいたのかもしれない。

ところが・・・だ。

年末に中学生の甥っ子が店に来てくれた時、
「今、どんな曲が流行ってんねん?」
と聞いてみると、とある動画サイトを紹介してくれた。
なるほど『あいみょん』『米津玄師』『Ado』などに交じって、『こっちのけんと』『幾田りら』『友成空』『FRUITS ZIPPER』らの名がみえる。
聴いてみると、私のようなおじさんでも「ええやん・・・」と声が漏れた。

『なかった』のではない。
『知らなかった』のだ。

商売柄、なさけなく、恥ずかしいことだと思う。
日本の音楽業界は私が物心ついたころから、シングル盤を発売するとドラマや映画の主題歌やCMソングにタイアップさせ、ある程度たまったらアルバムを発売。
アルバムはほぼ1年に1枚。
そういうビジネスモデルで運営されてきた。

ところが『キラ-ストリート』以降のサザンをはじめ、ビジネスモデルが変わりつつある。
シングルを発売せず、YouTubeやTikTokで歌をみんなに聴いてもらう。
アルバムはフィジカル=CDで発売するが、必ずしも形には拘らない。
これが新しいビジネスモデルの原型になっている。

フィジカルというのはレコードやCD、カセットなど手に取ることができるアイテムを指します。

店に入って約30年、私は古いビジネスモデルで生きてきた。
年をとり、テレビの視聴も減り、さらにシングルという兆し商品がない状態では、新しい才能に気づこうともしていなかったし、気づくきっかけさえなかった。

日本の音楽ビジネスの原型となったアメリカの音楽ビジネスでは、もともとアルバムがあり、その紹介をする意味でシングル盤が発売された。だからシングルのことを『リカット』という。
アルバムを売るための紹介=宣伝商材だから安い。ヘビメタなんかは無料で配る場合もあったそうだ。

そういう本来のシングル盤の役割に立ち返れば、シングルを出さずYouTubeやTikTokを利用する判断は当を射てるし、合理的だ。
Mrs.GREEN APPLEは『ケセラセラ』『ライラック』でレコード大賞二連覇を果たしたが、『ライラック』は現時点でCD発売はされていない

近日中に発売予定あり!ご予約は弊店へ(^^)

みんなが手に持っていたい、所有したいと思うアルバムを作る。
たぶん1枚のアルバムに収録できる曲数は、12~16曲ぐらいだろうか。
大好きな曲たちの中から選曲し、曲の順番を決め、パッケージを相談し、レーベルを含むデザインをプロにも相談し、ライナーノーツを考える。

そうやって、アーティストが自分を表現した1枚1枚を、お客さまに紹介し、笑顔で買ってもらう・・・
あぁ、私たちの仕事は本来、それだったんだよなぁ。
つくづく反省した。

ほんとはこの後、新しいアーティストのCDを紹介しようと思ってたが、あまりにも長くなったので次回の講釈にて。