落語!春風亭一之輔『普段の袴』

落語で語ってみた 笑いはともだち
落語で語ってみた

慣れないことを猿真似して大失敗!
落語の王道ですが、春風亭一之輔の『普段の袴』もそんな話です。


舞台は御成街道、今でいう繁華街の骨董屋。フラリと立ち寄った立派な身なりのお侍。
店の主人と顔見知りのようで、一しきり店の掛け軸など褒めた後、煙管で煙草を吸い始めます。
粗相で火玉が袴の上に落ち、店の主人は慌てますが、そこは侍。
「いささか普段の袴だ」と悠然と構えます。

これを見ていて喜んだのが長屋住まいの職人・八五郎。
侍ってのはえれぇもんだ、袴に火玉が落ちても悠然と「いささか普段の袴」ったぁ畏れ入った。
あれをやりてぇ。
やったら絶対カッコいい!(って誰に見せんねん!?)

思いついたが吉日の八五郎。
袴はどこにある??? 八五郎、袴なんて穿いたこともない。
そうだ!
大家だったら持ってるから、あれを借りよう。

まさか焦がすためといえねぇから、要領が悪い。
祝儀・不祝儀が重なったんかい、なんて尋ねられて、
祝儀と不祝儀が喧嘩になって止めようとした、なんて・・・ものを知らぬとは幸せなこと。

なんとか袴を借り受けて、やってきました例の道具屋。
後は侍のマネをすれば、ビシッとキマルはずなんだけど・・・。


早い話が下記のあらすじ。
粗相で袴を焦がしてしまったサムライの粋な対応、言動に感銘を受けた、町人が、自分も粋にキメてみたいと、同じことに挑戦するが、うまくいかず笑いの種になる。

この短い物語で20分、30分話を持たせる秘密は何か?
春風亭一之輔さんは後書きで細部にこだわることだと云ってはります。ディテールですね。
実は落語というのはファンタジーです。
だれも江戸時代の御成街道を歩いたことなどないのですが、細かいところや舞台の特徴を丁寧に語ることで、場面が頭に浮かんできます。

あぁ、この辺りに銀杏御気があるな。あっここに骨董屋があるのか。けっこう人通りがあるな
立ち寄ったお侍さんの風体、奥から出てくる店の主人。大急ぎで座布団を持ってくる小僧さん。
その様子を陰から見ている八五郎・・・。

落語に限らず、映画もドラマのその本質は「上手に嘘をつくこと」です。
ドキュメンタリーではないんです。
本当と錯覚しちゃう世界で、ぼくらがやらないような変なことをする人、カッコイイことをする人、勇気ある行動をとる人、そのキャラ以外は本当だと思えるからこそ、感動したり、思わずテレビにアホか!と突っ込んだり、涙を流したりできます。人に迷惑かけない『上手なウソ』は、明日の元気の源かもしれませんね。

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