月亭可朝の落語CD発売!(昭和40年代の録音)

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月亭可朝の落語CD発売!

天衣無縫のキャラクターと破天荒な芸風の月亭可朝。
ギター漫談と大ヒットの迷曲『嘆きのボイン』で知られるが、実は桂米朝の二番弟子で、米朝師匠ご本人が
「あいつはうまいなぁ・・・」と嘆息されたほどの古典落語の名手だった。

月亭可朝・古典落語ライブ/怪談市川堤, 住吉駕籠ほか -昭和42-44年音源より-(CD3枚組)

月亭可朝・古典落語ライブ(CD3枚組)

可朝師匠自身は『習ったまま冷凍保存』と云う通り、師匠・米朝の若いころそっくりの語り口で、米朝落語を独自にアレンジした弟弟子の枝雀やざこばとは一線を画す。
近年の噺家さんは好き嫌いは別にして『演じる』意識が強い。
オーバーアクションやキャラの使い分けに力を入れるが、可朝の落語は『語る』意識が強いようで、その辺はサラリとしている。
けれどきっちり話を聞かす。上手な噺家さんだ。

米朝師匠そっくりとは言ったが、クラシックで指揮者が異なると違う音楽に聴こえるように、落語も語り口やテンポ、間,声色などで異なる演目になりうる。
べらんめぇ調で、下ネタも織り込む、可朝の落語だが聞き心地はどこか温かい。
CDの中の解説にもいくつか紹介されているが、天衣無縫を演じてはいたが、まじめで実直、優しい一面があった可朝師匠の人となりがしっかり落語に染み出ている。
少なくとも落語には、真っ直ぐに向きっていたことは、その落語を聞けば多くの人が感じることができるだろう。
友人の談志師匠に「あいつの人生そのものが博打だ」と云われるほど賭博好きで、警察沙汰もあったが、どうも人との付き合いに不器用な面があったのかもしれない。

『住吉駕籠』の酔っぱらいに『野ざらし』のはっつぁん、『宿屋仇』の兵庫の衆・・・ダメダメではた迷惑な奴らだが、これがほんまの『憎み切れないろくでなし』。
可朝の落語には、人の楽しさや愉快さ、可愛らしさがたっぷり詰まっている気がします。

都々逸に『酒の肴に新聞出され、見れば世間のアラばかり』というのがございます。
長年生きてまいりますれば、だれしも叩けば埃がたつ身です。
鏡を見て、アレッ近頃眼が吊り上がってると思われた方は、ほんの少しやさしく、ほんの少しゆったりと、自分にも相手にも接してみるといいかもしれませんね。
もちろん、あちきも含めて(^^;


《一口メモ》
月亭可朝師匠はもともと三代目・林家染丸師匠のお弟子さんでした。
クビ寸前で、その才を惜しんだ米朝師匠が譲り受けました。
可朝師匠は、自分は米朝の弟子だといつでもどこでもわかるように小米朝の名をもらったそうです。
ただ所属の吉本興業では、『小』の字がつくと、つかない者より格下に見られるという理由から改名を促しました。
可朝師匠はそういうなら、今は誰も使っていない亭号『月亭』を、名前は米朝から『朝』を、尊敬する三笑亭可楽から『可』を戴き、『月亭可朝』と名乗られたと聞いています。
後年、米朝一門と疎遠になられた可朝師匠ですが、如何に米朝師匠を敬愛していたかを示すエピソードとしてご紹介します。

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